ベトナムオフショア開発について

IT業界 はレベルの高い業界であり、高度な専門知識が求められています。成長する市場のニーズを満たすため、ほとんどの大学や短期大学が IT 専攻の学部・学科を開設し、教育を行っています。

教育訓練省の統計 (https://nhandan.vn/su-phat-trien-vuot-bac-cua-cong-nghiep-cong-nghe-thong-tin-va-trien-vong-dot-pha-tang-nang-suat-lao-dong-doi-moi-mo-hinh-tang-truong-cua-viet-nam-post629550.html) によると、 現在のベトナムのICT（情報通信技術）関連の教育規模は、大学で約51,000人/年、短期大学、専門学校で約68,000人/年、合計で約120,000人/年になっています。教育規模の継続的拡大が行われなかったと仮定した場合でも、2030 年にはベトナムのICT人材は 120 万人を超え、現在の 2 倍になります

優秀な学生は自然科学系の学部を選択する傾向にあり、特にITは自然科学系の学生に人気があります。毎年、学士などの学位を取得したIT専攻の卒業生約50,000人がこの業界の労働力として加わります。

国際交流基金の2018年速報によると、ベトナムの日本語学習者数は約175,000人で、世界6位になっています。2015年の調査結果に比べ、伸び率ではベトナムが1位です。2017年のベトナム人の日本語能力試験受験者数は71,242人で、世界3位、東南アジア１位になりました。現在、日本語を必須外国語とするIT専攻学部・学科を開設する大学も多く、日本語能力も向上しており、これが日本市場に向けて働く人材が増加している要因の一つにもなっています。

2020年のベトナムの平均年齢は32.5歳でした。2023年は、ベトナム史上最も若年人口の割合が高い時期になり、総人口の21.1％が10～24歳の若者である人口黄金期になりました。この時期の顕著な特徴は、働く能力のある人口（15歳～64歳）の割合が高いことであり、国の持続的な発展のための決定的な要因である人口の質、人材の質を向上させるための大きな機会をもたらしています。

2022年のTopdevレポート(https://topdev.vn/blog/bao-cao-thi-truong-it-viet-nam-nam-2022-tung-buoc-thay-doi-huong-den-su-phat-trien-kinh-te-lay-nhan-tai-lam-trung-tam/)では、ベトナムは優秀なIT人材が多いとなっています。ベトナムには2019年時点で約40万人のソフトウェアエンジニアがおり、毎年5万人以上の学生がIT系学部・学科を卒業しています。

さらに、ベトナムは国際ランキングで以下の位置付けになっています。

• 2021年のStatistaレポート「Leading countries in offshore business services worldwide in 2021」では、ベトナムは第６位のオフショアサービス主要国になっています。

  https://www.statista.com/statistics/329766/leading-countries-in-offshore-business-services-worldwide/

  
  
• コンサルティング会社AT Kearneyのレポート「The 2023 Kearney’s Global services location index」では、ベトナムはソフトウェアアウトソーシングで第７位の国になっています。

  https://www.kearney.com/service/digital/gsli/2023-full-report

  
  
• 統合企業レポートでは、ベトナムはソフトウェアのアウトソーシングおよび輸出において世界第６位になっています 。ベトナムのデジタル経済には、高い労働者率（2020年で74％）、良好なビジネス環境、地理的条件といった明らかな強みがあり、ソフトウエアサービス産業では、ベトナムは東南アジアで第1位になっています。
  
• 2021年、ベトナムはCMMI（Capability Maturity Model Integration）取得ソフトウェア企業数で東南アジアをリードする国となり、シンガポール、フィリピン、マレーシアを上回りました。ベトナムでは、数百社のソフトウェア企業がCMMI認証を取得しており、CMMIをプロジェクト管理に適用しています。成熟度の最高レベルであるCMMIレベル5を取得している企業もあります。CMMIに加えて、ジャイル/スクラムなど、より柔軟な管理プロセスを適用し、PMP®などのプロジェクト管理標準を適用している企業もあります。

  (https://www.pmi.org/certifications/project-management-pmp)

  
  
• 2019年のSkillvalue レポートでは、 ベトナムは、開発者スキルに関して世界で 29 位 となっており、東南アジア諸国で唯一トップ 30 に入っています。また、2016年のHackerRankレポートでは23位 になっています。

IT 産業は最も影響力のある経済分野の1つとなっており、年間成長率は他の産業よりもはるかに速く、国のGDPへの寄与率もますます高くなっています。2001 ～ 2009 年の IT 業界全体の平均収益成長率は20～25%/年に達していました。 2010 年末には、ソフトウェア産業とデジタルコンテンツ産業の収益は20億ドル、ハードウェア産業の収益は 56 億ドル、電気通信サービスの収益は 94 億ドルになりました。これにより、通信および IT での総収益は 170 億ドル近くになり、2000 年の 19 倍となっています。2019年のIT 関連での収益は1,200 億ドルで、2000 年の 400 倍となり、19年間での平均成長率は37％になっています。2022年の収益は約1,480億ドルで、2021年から10％増加しています。

ベトナムのGDPとICT産業の成長率（当社作成）

ベトナム ソフトウェア情報技術サービス協会 (VINASA) によると、2013年の IT 業界の収益は 340億ドル近くであり、13,800社で合計 440,000人の就業人口でした。ソフトウェアおよび IT サービスに絞ると、11,500社を超える企業で約60,000人の開発者が働き、28億ドルの収益でした。その頃、国内のITニーズを満たしていただけではなく、ITの世界地図に初めて名を刻みました。10年後には、5倍に拡大し、業界の総収益は 1,480億ドル、従業員数は 130 万人に達しました。 ソフトウェアおよび IT サービスでは、約6倍となり、収益は約 160 億ドル、ソフトウェアおよびサービスの輸出額は 50 億ドルを超えました。デジタルテクノロジーに関わる企業数は7万5000社になっており、ソーシャル、モビリティ、AI、クラウド、ビッグデータ、RPA、IoTなど、多くの新しい分野への拡大が継続されています。

ベトナムと日本は1973年に正式な外交関係を樹立しました。長い年月を経て、両国は多くの分野でお互いの重要な戦略的パートナーとなりました。政治的には、両国の指導者による定期的な相互訪問が行われています。経済的には、日本はベトナムにとって最も重要なパートナーの一つであり、最大のODA提供国で、貿易相手国としては第４位になっています。

この友好関係により、ベトナムでオフショア事業を展開している日本企業には多くの便宜がはかられています。

2023年9月21日、ハノイで行われた日越国交樹立50周年記念式典で、山田多喜駐越日本国大使は、日越関係は今まで政治、経済、文化などあらゆる分野において良好であり、日本企業にとってベトナムは世界でアメリカの次に重要な今後の事業拡大先であると述べられました。日本国内のベトナム人コミュニティは日本で 2 番目に大きな外国人コミュニティになっています。また、日本への留学生数はベトナムが第2位になっています

現在、日本とベトナムの若い世代が、情報技術、ハイテク、ビジネス、芸術など様々な分野で両国の架け橋として活躍しています。

ベトナムの政治状況は安定しており、外国企業の投資に有利な条件が整っています。ベトナム人と日本人は文化や性格的にも似ているところがあり、仕事上でのコミュニケーションもとりやすく、また、ベトナム人は勤勉で責任感が強く、常に仕事に専念することができます。

地理的には、日本の東京とベトナムのホーチミン間の飛行時間は6～7時間程度です。時差は2時間だけですので、メールのやり取りやテレビ会議などでのコミュニケーションにおいてそれほど不便はありません。

ベトナム政府はIT業界への投資を重要視しており、日本市場向けオフショア開発に多額の投資を行っています。これにより、日本市場向けIT業界の人材は豊富で、人件費も安定した水準に保たれています。